| 1.椎間板ヘルニアってどんな病気? |
椎間板とは・・・?
● 椎体(骨)と椎体との間にあり、
● ボールのような構造で、
● クッションの働きをします。
● 外側は硬い線維を含んだ軟骨(輪維輪)で、
● 内部は水分を含んだ軟骨(髄核)です。

Macnab より引用
では椎間板ヘルニアとは・・・ |
●椎間板が破れる病気です。
椎間板をボールに例えるとボールの皮がくたびれて、破れてきた状態です。
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●具体的には・・・
* 椎間板が “変性”してきて、
* 変性すると脱水と、線維化が起こり、
* 硬く、弾力性がなくなります。
* 椎間板の線維輪に亀裂ができて、
* 亀裂が大きくなり、
* ここから内部の髄核が外に出ます。
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2.なぜ椎間板ヘルニアがおこるのですか?
ヘルニアの原因となる椎間板の゜変性゜って何? |
●変性とは椎間板をボールに例えると
ボールが古くなって空気が抜けて弾まなくなった状態です。
* 老化に伴う椎間板の基質の劣化で、
*
椎間板の基質成分(プロテオグリカン)が変化するため、
水分保持能が低下します。
* 変性は老化と共におこりますが、
*
若年でも軟骨板に骨折が生じると髄核に炎症反応がおこり、
*
変性が始まると考えられています。
*
したがって、若くても単独椎間におこる場合があります。

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■アドバイス!
椎間板の変性はMRI像で判ります。
単純X線写真でも椎間板腔の減少として判ります。 |
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| 3.ヘルニアが発生しやすくなる要因は? |
● 重労働や車の運転: (軽労働者に比べて3倍のリスク)
●
喫 煙: (1日10本吸うと約20%リスクが上がる)
● 遺伝的要因: (特に若年のヘルニアでは影響が強い)
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| 4.好発年齢、発生高位は・・・ |
* 20〜40歳代に多い
* 下位の椎間板(L4/5、L5/S1に多い)
* 男女比は2〜3 : 1
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| 5.ヘルニアの自然経過は? |
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| 6.大きく脱出したヘルニアは自然に治る |
● 脱出程度が進み靭帯を破って外にでるとヘルニア種瘤は自然退縮します。 |
1)
脱出椎間板が血行にさらされる。
2) 脱出した椎間板に炎症細胞の侵潤がおこる。
3) 炎症細胞(マクロファージ)が椎間板の貪食と分解を行う。

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| 7.どんな症状が出るの? |
脱出の程度により症状が変わります。
(一般にヘルニアが大きくなるほど痛みが強い)
| ● ヘルニアが靭帯を破らない間は腰臀部痛が主体。 |
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| ● 靭帯を破ると腰痛は消失し、強い下肢痛が主体となります。 |
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| ● しかし中心性ヘルニアは腰痛が主体。 |
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| ● 筋力低下や知覚障害など神経の障害が起こる場合があります。 |
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● 脱出が著明な場合は膀胱直腸の障害が出る場合があります。
(下図参照) →緊急手術が必要 |
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| 8.どうすれば診断がつきますか? |
腰痛や下肢痛があるだけではヘルニアと診断できません。
具体的な診断方法は?
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● 症状の特徴から・・)
* 腰に負担のかかる作業、姿勢の途中や後に比較的急激に発症し、
* 腰が伸びない、横に曲がる(疼痛性側弯)、前に曲がらない、
* 最初は腰痛でその後、下肢痛に症状が変化してきた。
⇒ などの症状が出てくればヘルニアが最も疑えます!
● 診察所見から
| ・発症初期の前屈制限。 |
| ・SLRテスト陽性
(患側下肢挙上が制限) |
| ・疼痛性側弯、腰椎前弯消失、 |
| ・下肢筋力低下 |
| ・下肢知覚障害 |
● 確定診断は画像診断が必要です!
まずMRI・・
| 画像上ヘルニア像があるだけでは、ヘルニアと診断出来ません。 |
| MRI画像が症状や診察所見に合致してはじめて診断が成り立ちます。 |
● その他の画像診断法は
*脊髄造影:
脊髄を包む袋の中(くも膜下腔)に造影剤を注入し、圧迫部が診断できます。 |
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*椎間板造影:
椎間板に造影剤を注入し、髄核と直接ヘルニア腫瘤を造影します。 |
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*神経根造影:
神経根周囲に造影剤を注入します。椎間孔内での圧迫は診断価値があります。 |
● 電気診断:筋電図、神経根誘発電位
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| 9.治療はどうするの? |
1.ヘルニアの自然経過を念頭において治療計画を立てることが大切です。
上記でもご説明しましたが、ヘルニアは下図のように突出型から脱出型さらには遊離型へと進行します。

この過程において・・)
| * |
小さいヘルニアは痛みが改善することが多いし、 |
| * |
大きく脱出したり、遊離移動したヘルニアは自然退縮が期待されます。 |
| * |
また脊柱管の形や広さにより治りやすさ、治りにくさが異なります。 |
| * |
脊柱管が狭い例や脊柱管の外側、外側陥凹(下図参照)が狭いものは、ヘルニアが小さくても痛みが強く、回復しにくいと言えます。 |

■アドバイス! MRIにてヘルニアの形や大きさ、脊柱管の広さや形を見ると今後の予後や症状経過が予測できます。 |
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| 10.どんな場合に手術が必要になるの? |
● 大きく脱出したり、移動したヘルニアは・・
| 痛みは強いですが、自然退縮が期待できるので待てば改善します。しかし、下肢の麻痺が進行するなら早く手術することが必要です。 |
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● 脊柱管や、外側陥凹が狭い例は・・
| ヘルニアが小さいうちに強い痛みになり、痛みが持続し、手術が必要となることが多い。 |
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● 社会的理由などで早く痛みを取りたい場合・・
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* 膀胱直腸障害を呈したヘルニアは緊急手術が必要です。 |
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| 11.一般に行われる保存的治療は・・ |
1、薬物治療
NSAIDs(消炎鎮痛剤)、筋弛緩薬など
2、ブロック療法
硬膜外ブロック、神経根ブロック
3、リハビリテーション
運動療法
4、物理療法
温熱治療、けん引治療
5、鍼灸治療
6、手技療法
マニプレーション、モビリゼーション
7、患者さんの教育 |
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■アドバイス!
急性期は薬物治療とブロック療法を、
急性期を過ぎると運動療法を推奨します。
教育としてヘルニアの性質、自然経過を知ることが大切です。 |
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| 12.手術的治療について |
● 小侵襲手術 PLDD(レーザー)法とPD法
レーザー手術 (PLDD法)
小さなヘルニアでは・・
ヘルニアの脱出部分はそのままにして、椎間板の内圧を下げるだけで改善する可能性があります。
PLDDは髄核にレーザーを照射し、生じる熱エネルギーにより髄核に空洞を造り(蒸散)、椎間板内圧を下げるものです。
したがって、ある程度以上大きくなったヘルニアには無効です。
また高齢者は椎間板内圧が高くないので勧められません。
PLDDの守備範囲は限定されますが、局所麻酔で行え、小侵襲の手術です。
PD法
レーザーと同じ原理、同じ小侵襲の手術法です。

レーザーの代わりに小さな鉗子で椎間板に空洞を造り椎間板内圧を下げる方法です。手術の守備範囲(適応)もレーザー法と同じです。局所麻酔で行え、レーザー法と同じく小侵襲の手術です。
この方法によりヘルニアを椎間板内部から抜くようにして摘出できる場合もあります。
● ヘルニア摘出術
ラブ法
腰椎後方に切開を加え小さな椎弓間に小さな窓を開け、神経組織を寄けて突出したヘルニア部分を摘出する方法です。
⇒ ヘルニア手術の基本です。
顕微鏡下ヘルニア摘出術
小切開からラブ法と同じ方法で顕微鏡を用いてヘルニア腫瘤を摘出します。
内視鏡下ヘルニア摘出術
小切開からラブ法と同じ方法で内視鏡を用いてヘルニアを摘出します。
1.6mm径の円筒状のレトラクターに内視鏡を取り付け、モニター像を見ながらこの筒の中でヘルニアを摘出します。
腰椎前方固定術
腹部を切開し前方から腰椎を展開し、ヘルニアを椎間板と共に摘出し、椎間に骨移植を行います。

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| 13.再発や再手術はどのくらいあるの? |
* 再発を再手術例とすれば、6年前後で4〜14%とされています。
* 術後1〜2年が多く、同一椎間の再発手術例が多いと言えます。
* また手術椎間に不安定性を伴なった場合、再発のリスクが高いようです。
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