椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症等の手術方法の解説。脊椎疾患、腰痛疾患専門の「わたなべ整形外科」
 
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   腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症ってどんな病気なんですか?
腰椎の神経が入っている部屋(脊柱管)が狭くなる病気です。

 腰椎の全ての構成要素すなわち骨、靭帯、筋肉、椎間板、関節(椎間関節)は年齢と共に加齢的変化(退行変性)を起します。
 最も、一般的な腰部脊柱管狭窄症はこの加齢的変化により脊柱管が狭くなったものです。


具体的には・・・

 肥厚した骨や椎間板、靭帯組織などにより脊柱管内で神経組織が圧迫され、神経の血行障害が起こり、下肢の痛みやシビレ、歩くと下肢が痛くなり途中で休まないと歩けない(間欠跛行)などの症状が出ます。



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腰椎にどんな変化が起こるの?

骨の変化は?
脊柱管の広さや型に個人差があり、脊柱管の狭い人や脊柱管の外側の部分(外側陥凹)が狭い人に起こりやすくなります。
このように個体差としての脊柱管の骨の形を基礎にして、加齢的な変化(退行変性)としての関節(椎間関節)の肥厚が加わり狭窄が進行します。

椎間板の変化は?
 退行変性により後方の脊柱管へ膨隆し、神経の前方より圧迫します。

靭帯の変化は?
 脊柱管の後方から側方にかけて存在する黄色靭帯が、退行変性により肥厚し後方や側方からの圧迫因子となります。

 

 

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どんな症状が出てくるの?
   
下肢の痛み、だるさ、シビレ

間欠跛行
 しばらく歩くと下肢に痛みやシビレが出て歩けなくなる。休むと改善するが、再び歩くとまた症状が出て、連続して歩けなくなること。

 
圧迫される部位により症状が異なります

1.馬尾型

 主に脊柱管の中央部が圧迫されるタイプで、馬尾の障害による症状が出ます。
 下肢の痛みより、シビレ、間欠跛行もシビレが中心で、下肢筋力低下や膀胱直腸障害などを合併します。

2.神経根型

 脊柱管の外側で主に圧迫されるタイプで、神経根の障害により症状がでます。
 下肢の痛みが強く、間欠跛行も下肢痛が中心です。

 

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どんな原因が考えられるのですか
 
● 加齢的変化として
 骨、靭帯、椎間板に加齢的変化(退行変性)が加わり、次第に脊柱管が狭くなります。
 
● 体質的要因として
 本来の脊柱管の広さや形に個人差があり、体質的な起こり易さが人により異なります。
 
● 実際多いのは
 この両方が重なる場合、つまり脊柱管が体質的に狭い人が中年以降になると起こり易くなります。
 また、変性すべり症を持つ人もリスクが高くなります。
 
● 原因によって細かく分けられています
 以下の表のようになります。
 

腰部脊柱管狭窄症の国際分類

T先天性、発育性狭窄
   A)特発性
   B)軟骨形成不全性
U後天性狭窄
   A)変性性
     T)中心性
     U)外側性
     V)変性すべり
   B)混合性
     先天性、発育性、変性性とヘルニアの組み合わせ
   C)分離すべり症
   D)医原性
     T)椎弓切除術後
     U)固定術後
     V)化学的髄核摘出術後
   E)外傷後
   F)その他
     T)Paget病
     U)フッ素障害

どうして診断するの
 

1.症状からは・・・
*中年以降で
*下肢の痛み、シビレがあり
* 間欠跛行(歩くと下肢が痛くなり途中で休まな
  いと連続して歩けない)

があると狭窄症を疑います。

 
   
 閉塞性動脈硬化症による下肢血管の血流障害でも同じような症状が起こるので鑑別を要します。

↓以下の点で鑑別できます↓

 狭窄症の方は脊柱管が狭くなると痛みが出る。つまり姿勢性要素がありますが血管性ではありません。

* 脊柱管を狭める体位(後ろへそらすと)
  で症状の誘発がある。
* 立つと痛いが座ると楽。
* 歩くと痛いが自転車は痛くない。
* 前屈位で歩いても痛みは出ない。

 歩いてしばらくすると下肢にシビレやだるさが出て、歩くことができなくなる。
 休むと治るが再び歩くとまた出る。

狭窄症の方は姿勢に関係する!

 
2.画像検査で確定します。
* MRI
* 脊髄造影

脊髄を囲む袋の中に造影剤を注入し、レントゲン撮影をする検査です。入院を必要とします。MRIがあるので最近はあまり行われません。
 
治療方法は
 
1.保存的な治療方法
 
<くすり>
PGE1製剤 (プロスタグランディン)
NSAIDs (消炎鎮痛剤)
疼痛抑制系賦活剤(ノイロトロピン)
漢方薬
<装具>
ウイリアムス型腰椎装具
前屈位を保持し後屈を抑制します。
<ブロック療法>
硬膜外ブロック、神経根ブロック
交感神経ブロック
<運動療法>
腰椎脊柱管を広くする
(腰椎屈筋強化など)
腰部支持力を高める
(深部筋強化)
<物理療法>
温熱治療、けん引療法
<鍼灸治療>
<患者さんの教育> <手技療法>
マニプレーション、モビリゼーション
 
 

保存治療としての運動療法

 腰部脊柱管狭窄症の症状発生機序は腰部脊柱管の狭窄で、これによる神経組織の血流障害によるものである。したがって、狭窄症に対しては腰部の脊柱管を拡げる事が根本的治療に繋がることは言うまでもない。狭窄症の運動治療は解剖学的、生命力学的観点より脊柱管を拡大するように計画し、リハビリプログラムを作製する。具体的には主に腹筋、殿筋、ハムストリングなど腰椎屈筋の筋力増強訓練、背筋、腸腰筋など腰椎伸筋のストレッチングを行うことになる。
 一般に腰椎疾患の運動療法に際しては、まず腰痛の病態診断を正確に行う事が先決で、各症例毎の腰痛発生機序や疾患の病期にあわせてリハビリ内容を作製し、さらに治療経過中の症状変化に応じて運動処方を見直したり、変更したり、追加したりする事が必要である。この意味において腰痛の保存療法としての運動療法は原因治療に近く、それゆえ効果も持続性がある。他の保存治療と一線を画すものとして、腰痛疾患保存治療の主幹をなすものといえる。

 
 
2.手術的な治療方法
   

手術治療の基本は神経の圧迫を除くこと(除圧)と不安定性を除くこと(固定)です。

不安定性のない狭窄症の手術は?

神経(馬尾や神経根)を圧迫している骨を削り、肥厚した靭帯を取り除き、脊柱管内の神経組織の圧迫を解除する。

 
以前は大きく開き、腰椎の椎弓を全て摘出する手術法が採られました。
 

 

広範椎弓切除術
大きく開いて椎弓(脊柱管の天井部分)を広い範囲に摘出し狭窄を解除、除圧する。

 
最近は小さな切開で、片側だけから開窓し、両側の除圧を行う、小侵襲手術法が行われています。
腰部脊柱管狭窄症の小侵襲手術、顕微鏡下の手術 片方から侵入し脊柱管を拡げる 続いて、同じ側から反対側も拡げる
 

しかし、すべりや側弯を伴なった不安定性のある狭窄症は・・・

狭窄部を除圧した後、固定を加える・・
骨移植を行い・・
場合によりチタン金属性のインスツルメントで内固定します。
内固定を行うことにより、不安定性があっても確実に骨癒合へ導くことができ、また早期の社会復帰を可能にします。

   
変性すべり症に伴なう狭窄症のように
不安定性がある場合は・・
除圧の後、骨移植を行い、チタン性の
インストルメントにより内固定を行います。
 
 
放っておくと、どうなるの
 
 もともと加齢的変化(変性)を基盤としていますので、次第に病態は進行します。一度、下肢痛間欠跛行などが出現し、症状が本格化すると改善しにくい病気です。
 70%が不変、15%が悪化、15%が改善とのデータがあります。