椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症等の手術方法の解説。脊椎疾患、腰痛疾患専門の「わたなべ整形外科」
 
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退行変性を主病態とするので・・・
本症は退行変性を主病態とするので回復力が少なく、加齢と共にゆるやかな増悪傾向を示すことが多いため、保存的治療に反応しにくい疾患といえます。

      治療効果に限界があります!

1) 脊柱管を拡げる事が一番ですが・・・

  本症の主病態は脊柱管の狭窄なので、脊柱管を拡げることが最善の治療主旨ですが、手術をしない保存的治療によりこれにアプローチする手段がありません。
しかし最近腰椎支持機構のバイオメカニクス的研究が進み、この支持機構回復や増強を目的にしたエクササイズ(リハビリ)が行われるようになりました。
支持機構増強のメカニズムが腰椎前弯を減らし、脊柱管拡大につながることが指摘されています。この点については後述します。

2) 腰椎に不安定性があると発症しやすい

  同じ狭窄が存在しても症状が出る場合と出ない場合があります。この理由は不明ですが、腰椎の異常可能性や不安定性が発症要因として存在することは確かです。保存的治療によりこの不安定性に対するアプローチができ、これが改善できれば、以下に述べる3) 4) 5)の病態も改善することになり有力な治療手段となります。この病態は上に述べた腰椎支持機構を高めるエクササイズによりアプローチ可能です。

3) 血流を改善すること

  圧迫による神経組織の血流障害が症状の原因なので、血流改善は治療の拠り所となります。治療薬があります。

4) 痛みを伝達する神経伝達経路が障害され痛みが増幅、
変形する場合がある

  狭窄症の痛みが持続すると、痛みが脳まで伝達する神経伝達経路の中で痛みの信号が増幅したり、性質が変わったりすることが最近解明され、注目されています(神経障害性疼痛)。この神経障害性疼痛に効果を示す薬剤が最近相次いで開発され、疼痛の治療が進歩しています。

5) 痛みを一時的にでも鎮痛すること

  痛みを一時的でも減らすことは痛みの改善につながることが疼痛理論上判っています。一時的な鎮痛により生じる生体反応により、生理的な痛みの回復力が強まります。
主病態である狭窄に対する治療にはなりませんが、比較的軽度の病態の場合は内服やブロックどなどの継続により、しばらく痛みを抑えると、持続的な改善につながる場合があります。

1) 薬物治療

血管拡張血流改善薬(リアプロスト アルファデクス)
     神経根型(下肢痛主体)には効果が劣る

非ステロイド抗炎症薬(NSAID)(ロキソプロフェンなど)
     慢性症状には効果が少ない

神経障害性疼痛治療薬(プレガバリン)
     神経障害性疼痛の病態を併発するかを見極めてから使用

オピオイド(トラマドールとアセトアミノフェン合剤など)
     疼痛が強く、上記薬剤の効果が少ない時使用

狭窄症の痛み病態を診断の上、
選択使用する

2) 神経ブロック

@ 硬膜外ブロック、仙骨ブロック
  馬尾や神経根を包む硬膜の周りの空間に、局所麻酔剤やステロイドを注入して知覚神経を麻酔します。ステロイドは炎症を抑えます。

A 神経根ブロック
  X線透視下に神経根に局所麻酔剤やステロイド剤を注入するもので、神経根の圧迫で下肢痛が生じる神経根型の狭窄症に効果があります。


 保存治療理論の5)の述べるように、局所麻酔剤により一時的に痛みが改善することにより生じる生体反応んいよって生理的な痛みの回復力が強まります。しかし痛みの原因病態である狭窄に対する治療にはならないので効果は限定的です。

私の経験では軽度の病態(もともと回復力が残っている)以外は効果は一時的です。


B トリガーポイント注射
  腰痛疾患で腰部の局所に筋肉が硬くなり(硬結)、押すと強い再現痛や関連痛を示す場合があります。筋肉由来の腰痛疾患で起こるといわれていますが、病態は不明です。この部分に局所麻酔薬を注射するものです。一時的に痛みは改善することが多いですが、根本治療にならないのは言うまでもありません。

3) 物理療法

  温熱治療、光線療法、牽引治療などあります。血流改善、鎮痛効果がありますが治療効果は薄いようです。

4) 手技療法、鍼治療

  AKA、カイロプラスチック、マニプレーションなど仙腸関節や局所の関節を手技的に動かし鎮痛を計るものです。鍼治療と同様、脊髄や脳幹レベルで疼痛抑制機構が働くことにより一時的な鎮痛が得られます。

5) 運動療法(エクササイズ)

○ 脊柱管を拡げるという原因に対する
治療的意義を持つ唯一の保存的治療手段

  最近、腰椎の抗重力的支持メカニズムの研究が進み、腰椎支持性における深部筋(ローカル筋)や、神経筋連絡性の重要性が論ぜられ、運動療法に取り入れられるようになってきました。
運動療法により脊椎不安定性や脊柱管狭窄という、脊柱管狭窄症の原因病態に対して直接的な治療的意義を持った治療が可能となってきました。


@ 腰部抗重力支持機構について

  腹部の最深部にある腹横筋は腹部前方の腹筋膜、腰部後方の腰背筋膜と連結し、腹腔をとりまく輪としての構造を形成しています。この輪状構造を介して腹横筋の収縮は輪を縮め腹腔内圧を上昇せしめ腰椎支持性を高めます。多裂筋を同時収縮させることにより各腰椎椎間の支持性にも寄与します。

 

 

 

 

腰部は前方は腹直筋鞘、後方は胸腰筋膜、側方は腹横筋により筒状に囲まれた輪を形成する。腹横筋の収縮により輪が緊張する。
McGill,2002


A 腰部抗重力支持機構を強化するエクササイズは腰椎前弯を減らし脊柱管を拡大します

  この輪状構造の働きを促進するエクササイズは腰椎抗重力支持性を高めると共に腰椎前弯を減らすことにより腰椎脊柱管を拡大することになります。保存的治療のなかで、”脊柱管を拡げる”という根本的治療意義を持つ唯一の治療手段である可能性があります。
当院では脊柱管狭窄症の保存的治療の主幹としてこの方法を取り入れています。他の治療手段と比較しても良好で持続する治療効果が実感されます。

Q1.放っておくとどうなりますか

 

  軽度または中糖度の場合、その1/3ないし1/2は自然経過でも良好な予後が期待できるが、重度の場合の予後は不明(北米脊椎学会,NASSのガイドライン、日本整形外科学会、日本脊椎脊髄病学会ガイドライン)とされています。しかし本来退行変性を主病態とするので、回復力が低く、年齢と共に増悪傾向であることは否めません。
私の経験では発症初期から明らかな間欠跛行や歩行障害を伴って比較的病状が強いものは、回復力が低く手術的治療が必要となるようです。一方歩行時の軽い痛みなどで発症する例は、治療にも反応しやすく、この状態が持続できることが多いようです。しかし予後が良い例でも完全に症状が軽快してしまうことはなく何らかの症状が増減を繰り返すようです。

 

Q2.個々の保存的治療の効果はどう違いますか

 硬膜外ブロック神経根ブロックなど は麻酔剤により痛みの伝導を一時的に遮断する治療です。痛みを一時的にでも減らすことは痛みの改善につながることが疼痛理論上判っています。一時的な鎮痛により生じる生体反応により、生理的な痛みの回復力が強まります。しかし狭窄病態は放置したままなので治療効果は限定的と言わざるを得ませんが、未だ回復力を有する比較的軽度の病態に対しては長期的回復が望める場合があります。

 手技療法(カイロプラクティック、マニプレーションなど)や鍼治療 は脊髄や脳幹レベルでの疼痛抑制機構を活動させることによる痛みの改善を目的にするものです。治療効果はあくまで一時的ですが、上記ブロック療法と同様の効果機序が見込めます。

【薬物治療では】

  消炎鎮痛剤 は原因病巣の消炎鎮痛に効果を発揮するため急性期の痛みには効果がありますが、狭窄症が慢性化すると効果は低いようです。

 血管拡張血流改善剤 は圧迫され血流障害に陥った神経組織の血流を改善すると言う意味では原因治療となりますが、服用を止めると効果はなくなります。

 神経障害性疼痛治療剤 は狭窄症の障害が疼痛伝達に関わる神経システム自体に障害や異常を来した神経障害性疼痛の病態を併発した場合には、治療的意義が存在します。

 運動療法(エクササイズ)は腰椎支持機構を強化し、脊柱管拡大の治療的意義を有する唯一の治療手段であり、ある程度の持続する有効性を確認していますが、効果には自ずと限界があるようです。

 個々の狭窄症の病期や病態に即して、各種治療手段を
使うことが大切です。

 


Q3.どんな場合に手術が必要になりますか

 

  個人のQOLの要求レベルにより異なりますが、
手術があまり遅れて下肢の神経障害が重篤になると転倒のリスクが高まります。また、手術による改善も悪くなります。手術により間欠跛行は改善しても、筋力低下や不快な痛みやしびれ感覚、異常感覚(神経障害性疼痛)が残りやすくなるといえます。
最近の手術は特に非固定の場合、できるだけ腰椎の形態を破壊しない小侵襲手術(小切開、小出血量)で行いますので、良好な手術結果が期待できます。

 

Q4.歩くと痛いので歩きませんが、良いのでしょうか

  歩かないと下肢の筋力低下が進行します。腰椎支持力も低下し狭窄病態に抵抗する力が低下します。痛みの出ない程度に毎日、休憩しながらも歩くことをお勧めします。

 

Q5.歩くことは病気にとって良いことでしょうか

  歩くことは下肢筋力や腰椎支持力維持に重要であるばかりでなく、腰下肢の神経組織の血管増生を促すという治療的意義もあるかもしれません。ある程度積極的に歩くことをお勧めします。臨床的にも、歩行が症状に好影響を与える印象を受けます。しかし度を越すと、狭窄部の炎症を誘発するのか、症状増悪につながる場合があります。翌日痛みが増強しない程度に毎日歩くことをお勧めします。


Q6.座っていると楽なのでいつも座っていますが大丈夫でしょうか

  座位姿勢は脊柱管が広くなるので痛みがなく楽です。しかし座位姿勢は下位腰椎への機械的な負荷が増加するので、長時間座り続けると次に歩く時に狭窄症の症状が増悪するという結果を招きます。安易に座り続けることはお勧めできません。

 

 

 

Q7.コルセットを着けていると筋力が弱ると聞きますが本当ですか

  腹直筋鞘、腹横筋、胸腰筋膜から構成される輪状の構造が腰椎支持に重要な役割を担っています。コルセットを長期間装着するとこの支持力が低下することは否めません。腰痛急性期や、腰椎に明らかな不安定性がある人(不安定なすべり症、変性による側弯や後弯など)は常時装着する必要がありますが、そうでない場合は、腰に負担のかかる作業や姿勢をする場合に装着する、ことで良いと思います。なおコルセット装着と平行して腰椎支持力増強の深部筋訓練を行うことで支持力低下は回避できるはずです。