> 難治腰痛について

他の病院で手術をしても治らない難治腰痛について

1. 手術をしても治らない腰痛(MOB)

MOB(multiply operated back)でも原因診断が正確に行われれば、ほとんどのケースで治療可能で、治療は良好な結果を得る事が出来ます。
原因診断は患者さんの症状や診察所見、レントゲンやMRIなどの画像所見を検討すれば可能です。確定診断のため造影検査や電気生理学的検査が必要な場合もあります。

 

▼ MOBの診断をあげると…

 

1 術前診断の間違い。(手術しても原因病巣が残っている)
2 病巣に対する手術が不十分。(病巣が一部残る)
3 手術は完成したが腰椎の不安定性要素(グラツキ)が潜在、残存する。
4 手術操作により新たに不安定性(グラツキ)が生じた。
5 手術操作により神経障害が生じた。
6 術後神経根や馬尾の癒着。
7 術後新たな病変が発現した。(再狭窄、ヘルニア、となりの椎間障害など)

 

▼ MOBは痛みの過敏性があります。

多くの場合、疼痛の過敏病態(神経因性疼痛)があり、精神的因子により修飾されています。

 

▼ MOBの治療について

原因診断が正確に行われ、この原因を除去できれば良好な治療結果を得る事が出来ます。
原因除去は再手術が必要となる場合が多いのですが、癒着の場合は手術をしても痛みの改善は良くありません。

 

▼ 一番多いMOBの原因は腰椎椎間孔内病変の見落としです。

腰椎椎間孔

椎間孔は枝分かれした神経根が出てゆく横方向の孔です(矢印部分と一致)。
ここで神経根が圧迫されると画像診断で分かりにくく見落とされがちです。


2. 原因の判らない腰痛について

一見原因不明でも診断しにくい種々の病気が隠されています。
脊髄の先端(脊髄円錐)が牽引され腰痛が起こる病態(脊髄終糸症候群)(図1)
画像で診断しにくい椎間孔内病変 (図2)、画像所見で分かりにくい小さなシュモール結節による若年の腰痛、骨盤腔内病変(腫瘍)、神経が足の先の方で圧迫される病変(足根管症候群)、脊髄、神経根、末梢神経の炎症性病変(脊髄炎、多発神経症)などです。
診断がつけば治療可能です。

腰椎椎間孔

(図1)
終糸は胎生期の遺残物です。症状は主に腰痛と下肢痛です。

(図2)
矢印は椎間孔内で圧迫された神経根を示します(正面像)。
椎間孔とは枝分れした神経根が通過する腰椎の横方向の孔です。


3. どうしても治らない腰痛について

▼ 疼痛が長く続いたため、体の中で疼痛機構の過敏性が生じる例。

単なる椎間板変性でも、ヘルニアでも起こり得ます。原疾患の治療に加え、疼痛機構の過敏性に対する治療が必要となります。

 

▼ 変性が強い(腰椎が曲がっている、前方や側方にすべっている)

手術的に解決できますが、病変の範囲が広いと大きな侵襲となります。手術をしなくても、痛みの原因を解析してこれに合った運動療法をすれば意外と効果が出る場合があります。


▼ 外傷を伴うケース

これも痛みの感受性が異常に高まり疼痛過敏状態となっていることが多いので、この方面からの治療が必要です。疼痛病巣に対する手術的治療も有効です。